時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

テオティワカン遺跡のピラミッドに登る

 

 

バスが向かったのはメキシコシティから約50km北にあるテオティワカン遺跡

 

紀元前2世紀頃に建造されたメソアメリカ最大の古代都市はその最盛期の人口が20万とも言われています。ところが600年頃に何故だか滅亡しています。テオティワカンに対抗できるような勢力はなかった時代なのでクーデターが原因だと考えられていますが、真相は不明のままです。そして20万人もいた人々がどこに消えてしまったのか?という疑問も残ったまま。廃墟と化したこの都市遺跡を13世紀に見つけたアステカ人がテオティワカン(神々の集う場所)と命名しました。1987年には世界文化遺産にも登録されているメキシコ最大級の観光資源です。

 

入り口から売店や土産物屋の並ぶ通りを抜けるとさっそく遺跡が見えてきました。ここは1800年前のものと思われるジャガーの宮殿です。f:id:greenbirdchuro:20190530213801j:plain

遺跡に残る壁画を見ると・・・ジャガー頭に羽毛、背中に巻貝が飾られています。既に意味不明ですが、そのジャガーがケツァル鳥の羽毛のついた巻貝を吹いています。巻貝にも度々お目にかかるので神事には欠かせないものなんでしょうし、聖なるケツァル鳥の羽毛をつけたのはスペシャル感を出すためかもしれません。貝を吹くことで雨を降らせると考えられていて、ジャガーの上に雨神トラロックの仮面が描かれているのでジャガー神は雨と関係が深いみたいですね。水に絡むとなるとジャガー神が相当なレベルの神様だってことは想像がつきます。f:id:greenbirdchuro:20190530213804j:plain

 

次に羽毛のある貝の神殿に進みました。ここはケツァルパパロトルの宮殿の基壇の下から発見された地下神殿です。もちろん初めから地下だったわけではなく、上に新しく別の宮殿を建てたということなんですが、そのことでさらに古いものだということがわかります。ソカロ広場でもそうでしたが、こちらの人は古い建物の上に新しい建物を重ねて建てるのが好きみたいですね。全部を取り壊すのが面倒なのか当時なりのマウンティングだったのか・・・。

 

埋もれていたおかげで壁画の保存状態がとても良く、神殿の基壇に描かれている「緑の鳥の行列」1800年も経っているのにこんなに鮮やかな発色です。テオティワカンも色彩豊かな都市だったんでしょうね。f:id:greenbirdchuro:20190530214127j:plain

名前から薄々は気がついていましたが、やっぱりありましたよ、羽毛の生えた巻貝のレリーフが!保存状態の良さに感心しますが、貝に毛が生えてたってもう気になりませんね。f:id:greenbirdchuro:20190530214352j:plain

 

いよいよテオティワカンの北の端に位置する月のピラミッドへ向かいます。高さ46m・底辺150m×140mの大きなピラミッドは遠くからでも見る者を圧倒しています。f:id:greenbirdchuro:20190530214737j:plain

小さな神殿に増改築を重ね、今の姿になったのは400年頃。以前はピラミッドの頂上まで登れたそうですが、傷みが激しいため現在は途中までしか登れなくなっていました。f:id:greenbirdchuro:20190530214740j:plain大したことない!と登り始めたら意外にもこれが心臓破りなんです!傾斜が急で一段一段がとても高く、ほぼ四つ這いかロープの手摺を握らないと・・・ムリ!頂上への登頂が禁止されていたことに感謝したくらいです。膝もガクガクしてるし、この胸の高鳴りは・・・動悸?マチュピチュと変わらない標高2300mですから、動悸の原因は運動不足だけではないはず!今でもわたしは「感動」だったと思ってますけど?

 

正面の月の広場を取り囲むように並ぶタルータブレロ様式の基壇で神官が儀式を執り行ったと考えられています。ピラミッド内から生贄跡が見つかったので、ここが儀式の舞台であったことは間違いないでしょう。ちなみに祀られていた神や宗教については分かっていません。祭事に他の都市国家が参加した形跡があるので、当時のメソアメリカで大きな政治的影響力を持っていたことが想像できます。

f:id:greenbirdchuro:20190530214744j:plain月のピラミッドから南北に走る死者の通りを基点にした碁盤の目のような整然とした都市建築には高度な数学や天文学の知識が必要なので、そんな学識のある人々に生贄の風習があったことには矛盾を感じます。

 

死者の通りを太陽のピラミッドに向かって歩きます。全長3000m超・幅40-60mのこのメインストリートの縁起悪そうな名前には都市を発展させる気があったのか?と疑いたくなりますが、実はこれ、通りの両側に並ぶ無数の基壇・神殿を墓だと誤解した後世の人がつけた誤った名前なんです。調査は続いているそうなのでいつか本当の名前が判明するかもしれません。f:id:greenbirdchuro:20190530215339j:plain

 

太陽のピラミッドの正面に立ってみるとその巨大さに圧倒されます。高さ65m・基底225m×225mはエジプトのクフ王カフラー王のピラミッドにつぐ世界3位の大きさで、メキシコ地方最大のピラミッドです。しかも、このピラミッドは頂上まで登れるんです!

f:id:greenbirdchuro:20190530215346j:plain太陽のピラミッドというのは後世の人がつけたニックネームみたいなものですが、実際にこのピラミッドは太陽の動きを計算し尽した上で築かれているようで、夏至の日にはこのピラミッドの真上を太陽が通って正面に沈むことがわかっています。

 

ここには月のピラミッド以上の心臓破りの階段が待っていました。階段は全部で248段、途中で脱落する人もチラホラ。f:id:greenbirdchuro:20190530215408j:plain

登頂写真は見苦しくて晒せませんが、認めざるを得ません。膝ガクガク・息ゼーゼー・胸のバクバク>>>心ワクワクだったことを・・・。f:id:greenbirdchuro:20190530215350j:plainだって、この登りすごいでしょ?

 

そして、登頂成功!!メキシコ有数のパワースポットで思い思いに過ごす人の中には天と交信してる人の姿も・・・。f:id:greenbirdchuro:20190530215425j:plainかつてはコンクリートの上塗りがされていた頂上も石面がむき出しになっています。近い将来、月のピラミッドと同じように登頂制限するかも・・・という話を聞いて、やりとげた感が倍増しました。

ピラミッドからの眺める周囲の住居跡は壮観です。f:id:greenbirdchuro:20190530215417j:plain死者の通りの先には先ほど登った月のピラミッドとその背後のセロ・ゴルド山が見えました。f:id:greenbirdchuro:20190530215421j:plain

 

テオティワカンには文字記録が残っていません。これだけの文明都市で文字が使われていないわけありませんが、長文記録が発見されていません。それ故に都市が出来たメカニズムや民族、言語、政治など多くことが謎のままです。わたしの生きてるうちに解明される日が来るのでしょうか。

 

ランチは郊外のレストランでビュッフェでした。特段メキシコらしさもないですが美味しく頂きましたよ。f:id:greenbirdchuro:20190530215920j:image

デザートの種類もいっぱい。全部食べたのがバレバレですね。f:id:greenbirdchuro:20190530215702j:plain

右の青いカップに入ったのが米と牛乳、砂糖、シナモンを入れて甘く煮たアロス・コン・レチェです。メキシコでもお馴染みのスペイン発祥のデザートです。f:id:greenbirdchuro:20190530215925j:image

そして、初体験のデザートはサボテンの実。食べられることにびっくりでしたが、甘いのにさっぱりしていて想像以上に美味でした。f:id:greenbirdchuro:20190530215707j:plain


この後は国立人類学博物館で知識を深めることにします。

 

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