時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

アルヘシラスからモロッコのタンジェを目指してみた

夜中のお祭り騒ぎがウソのように静まり返った明け方のこと。アンダルシア上陸からまだ24時間もたっていませんが、南部の港町アルヘシラスに向かい、そこからジブラルタル海峡を渡ってアフリカの玄関口であるモロッコタンジェに行くため、マラガのバスターミナルにやってきました。 タンジェは初めて訪れる街ですが、モロッコは周遊経験があるので、今回の目的は街歩きというより、ただ単にジブラルタル海峡を船で渡ってアフリカ大陸に上陸すること。アフリカ日帰り旅行できるなんて想像しただけでテンションがあがります。f:id:greenbirdchuro:20190810081007j:plain

 

年末年始と週末が重なっていたので、スペインからアフリカに帰省する人も多いかもしれない・・・と、6時45分発の始発狙いで6時前にはバスターミナルにやってきました。バスターミナルの建物は煌々と灯りがついていましたが、チケットカウンターも開いておらず、まだ誰もお客さんがいません。これならアルヘシラスまでは確実に辿り着けそうです。利用するバス会社はavanzabus(https://www.avanzabus.com/)です。f:id:greenbirdchuro:20190810082053j:plainf:id:greenbirdchuro:20190810081003j:plain

 

ほぼ1番乗りでチケットを購入でき、夜の明けきらないマラガからスペイン南部のアルヘシラスを目指します。バスの座席は半分以上が埋まっていましたが、年末年始で帰省するスペイン出稼ぎ中のアフリカ出身者といった感じの人がほとんどで、わたしのような観光客は皆無でした。

 

南に向かうバスの車窓に朝焼けに照らされた岩山が見えてきました。イベリア半島南端の岬にあるジブラルタルロックです。古代ローマ人北アフリカにあるアチョ山とともにヘラクレスの柱とみなしてきた石灰岩のこの岩山は、426mの1枚岩 !ユトレヒト条約締結以降は、イギリス領になっています。見るからに難攻不落の要塞といった感じなので、ここをピンポイントで領土とすることに軍事上の大きな意義があるんでしょうが、領土問題では辛酸をなめてきた日本人から見ても、こんな不自然な飛び地が揉めないはずありません。平和とはほど遠そうなこの場所でジョン・レノンオノ・ヨーコが結婚式を挙げたのも意味不明です。どの辺がLove and Peaceなのか?と。f:id:greenbirdchuro:20190810081211j:plain

 

ジブラルタル海峡を渡ってタンジェに向かうフェリーはアルヘシラス港とタリファ港の2つの港から出ています。アルヘシラス港からの船はタンジェの市街地から50kmも離れた郊外に着くので、旧市街のそばに着くタリファ港発の船に乗りたいところ。アルヘシラス港でタリファ港発のチケットを購入することが出来たので、港間を結ぶシャトルバスに乗り、20kmほど南あるタリファ港に到着しました。30分ほどでタリファ港の旅客ターミナルに到着しました。タリファ港からだとFRS社とInter Shipping社からあわせて10便以上が出航しています。https://www.aferry.com/inter-shipping.htmf:id:greenbirdchuro:20190810081302j:plain

 

マリア・コロネル通りを挟んでフェリーターミナルの向かいには、グスマン・エル・ブエノ城(タリファ城)がありました。建築年月日を残すイスラム教の慣習のおかげで、アブデラマン3世の命でこの要塞が完成したのが960年だという正確な記録が残っています。華やかなファサードがあるわけではなく、興味を示す観光客もほとんどいませんが、1000年以上もの月日が経過しているとは思えない良好な保存状態です。地理的条件からも、イスラム教徒によって建てられたものをキリスト教徒が破壊せずに使い続けたことからも、要塞として重要な建造物だったことが伺えます。余所者のわたしが言うのはなんですが、長く要塞として貢献したこのお城にもっと敬意を払っても良いような気がしました。f:id:greenbirdchuro:20190810081256j:plain

 

ジブラルタル海峡の強風が吹き付けるタリファの海は、ウィンドサーファーやカイトサーファーにとても人気があるそうです。港には明らかにレジャー用と思われる船舶が並んでいました。マリーナの奥にも、要塞らしき建造物がありました。なかなかの見た目なのにGoogleマップにもそれらしき名前が付いていないあたり、グスマン城の見張り塔のようなものなのかもしれません。f:id:greenbirdchuro:20190810081250j:plain

 

風力発電が盛んなタリファだけあって、晴天にも関わらず、油断するとよろめいてしまうほどの強風が吹いていました。ターミナルで乗船手続きを待っていると、先発船の欠航が発表されました。欠航理由は強風・・・。嫌な予感しかしません・・・。競馬・競輪・競艇、何一つ当たったことがないのにこんな予感だけは的中するものです。ほどなくして、まさかの全便欠航が発表されました。晴天なのに・・・。青天の霹靂とはこのこと?翌日にはコルドバに向かうスペイン国鉄のチケットを予約しているので、チャンスはこの日だけ。海を超えてヨーロッパからアフリカ大陸に渡るというわたしの小さな大冒険はあっけなく終了してしまいました。f:id:greenbirdchuro:20190810081239j:plain

 

発券した窓口でないとチケットの払い戻し出来ないと言われたので、再び、アルヘシラス港に戻り、返金手続き。試しにアルヘシラス港からの船に空きはないか聞いてみましたが、こちらも全便欠航でした。穏やかそうに見えるジブラルタル海峡が恨めしくて仕方ありません。早起きしてホテルの朝食を抜いてまでやって来たのにこのままマラガに帰るのは悔しすぎる。かと言って周辺にこれという観光資源も見当たらず。とりあえず国鉄の駅に向かってみることにしました。しかし、駅の周りにあるのはファストフード店くらい。おかげででアルヘシラスへの未練はキッパリと断ち切ることが出来ました。f:id:greenbirdchuro:20190810081308j:plain

 

ガイド本を見て選んだ次なる目的地に向けて列車が走りだしました。アルヘシラスを抜けたところでジブラルタルロック、AGAINです。岩山のすぐ近くに位置するジブラルタルの空港は世界で最も離発着難易度が高いらしいので、いつか空からジブラルタルを目指してみたいものです。f:id:greenbirdchuro:20190810232629j:plain


急行列車は、乾いた大地にオリーブ畑が広がるいかにもスペインという景色の中を走り抜けて行きました。f:id:greenbirdchuro:20190810081908j:plain

 

アルヘシラスから1時間30分ほどの鉄道旅で到着した目的地は、海抜739mの岩がちな台地の上に位置する峡谷の街ロンダです。f:id:greenbirdchuro:20190810081713j:plain

 

う〜ん、普通すぎる駅舎。でも、オーストリアの詩人リルケをして夢の町と言わしめたロンダですし、歌劇 「カルメンヘミングウェイの小説 「誰がために鐘は鳴る邦画 「アンダルシア・女神の報復」 の舞台にもなっています。美しい風景が待っていると思うといやがおうにも期待が高まります。f:id:greenbirdchuro:20190810085350j:plain

 

 

ビゼー:歌劇《カルメン》 [DVD]

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