時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

グランド・プリズマテッィク・スプリング

 

 

いよいよ、わたしが一番見たかったグランド・プリズマテッィク・スプリングのあるミッドウェイ・ガイザー・ベイスンに向かいます。

 

ミッドウェイ・ガイザー・ベイスンはビスケット・ベイスンよりさらに6kmほど北上したところにあります。f:id:greenbirdchuro:20190707192603j:plain

 

駐車場からファイヤーホール川にかかる橋を渡ります。川沿いにゆらゆらと蒸気が立ち昇り、散在する間欠泉から時おり熱水が噴き上がる不思議な光景。「地球上で最も奇妙な川」という評価にあらためて納得します。f:id:greenbirdchuro:20190707192613j:plain

 

湧出した熱水が流れ込む川の土手は、繁殖したバクテリアで鮮やかに彩られています。流れ込む量は1分間に1900リットル!!ミネラル豊富な川には藻がよく育ち、それを餌とする魚もたくさん生息していて、その代表格がトラウト。その土地の名物を食べるのがわたしの旅のミッションの1つなので、ウエスイエローストーンのレストランで食べておいて良かった・・・。f:id:greenbirdchuro:20190707191705j:plain

 

見渡すまでもなく、あちこちから蒸気が立ち昇っています。f:id:greenbirdchuro:20190707191610j:plain

 

エクセルシオール・ガイザーは入り口からすぐのところにありました。もうもうと立ち昇る蒸気が覆い隠してしまっていますが、最も大きなところだと、その径は100m近くもあります。1985年を最後に休眠中ですが、1880年代には90m超の爆発的な噴出を見せたこともあったそうです。もしそんなまた噴出があったら、敷かれたトレイルの上を歩いていたって全く安全じゃないですね。f:id:greenbirdchuro:20190707191811j:plain

間欠泉としては休眠中でも、エクセルシオール・ガイザーには、毎秒250リットルもの熱水が湧き出しています。風が吹いて湯気が途切れると、その水面はカリブ海のように鮮やか青色をした水面がポコポコと音を立てていました。f:id:greenbirdchuro:20190707191753j:plain

 

少し乳白色がかった青い色のターコイズ・プール。眺めていても特に目立った活動はありませんが、地下で繋がっているエルセルシオール・ガイザーが活発に活動している時はこっちのプールの水位が下がってしまうそうです。他の間欠泉や熱水泉同様に蒸気が邪魔で写真には上手く表せませんでしたが、確かにトルコ石の色でした。f:id:greenbirdchuro:20190707193501j:plain

 

いよいよ、グランド・プリズマティック・スプリングの縁が見えてきました。何を隠そう、これを観たくて遠路はるばるやってきたわけですからトレイルを歩く足取りが弾みます。最大直径113 m・深さ49mという熱水泉の規模は、公園内ではもちろんのこと、全米でも最大です。世界でもニュージーランドのフライング・パン・レイク、ドミニカのボイリング・レイクに次いで第3位の規模です。それにしてもどうやって深さを測ったのやら・・・。f:id:greenbirdchuro:20190707192239j:plain

 

この熱水泉の魅力はなんと言っても名前の由来となっている複雑でエキゾチックな色調にあります。水面を覆う蒸気に霞んでしまっていますが、高温の熱水をたたえた中央部分は透き通るような深いエメラルドブルーをしていて、淵に向かってオレンジと変化していきます。頭では、バクテリアによる色調変化だわかっていても、美しい極彩色のコントラストが圧巻で、この世のものとは思えません。f:id:greenbirdchuro:20190707192254j:plain

 

周囲をぐるりと囲むバクテリア・マッドの模様もなんとも神秘的です。この世のものとは思えないと言いながらも、ここにはわたし達が覗くことのができなくても、細菌や古細菌が作り上げた世界が確実に存在しているわけです。f:id:greenbirdchuro:20190707192246j:plain風が吹くと一時的に蒸気が立ち消えるので、そのわずかなシャッターチャンスを待ちながらの鑑賞でした。蒸気に邪魔されずに極彩色を楽しむには晴れた暑い夏の午後がおススメだそうです。わたしが訪れた頃は連日の氷点下だったので、ナショジオの写真みたいな景色は最初から諦めていましたが、少しでもキレイな景色を見たくて、滞在中は頻繁にここに通いました。

 

それにしても、あまりに大きいので、全体像をつかむためには案内板を見るしかありません。実は、ちょうどこの頃のイエローストーン国立公園では、グランド・プリズマティック・スプリングを眺めるための展望台をこの熱水泉の南西にある丘の中腹に建設してる真っ最中でした。展望台が完成していれば、もう少しこの案内板の写真に近いような景色を楽しむことができたのかもしれません。f:id:greenbirdchuro:20190707192301j:plainずっと憧れていたブランド・プリズマティック・スプリング。全景は見れなかったものの、その縁に立つことが出来たので、ここでの目的はほぼ達成とします。

 

宿泊していたロッジは既にチェックアウトしてあるし、スーツケースは車に積んであるので、このまま西ゲートに向かえば良いのはわかっていましたが、どうしても名残惜しくて、再びオールドフェイフル・ビレッジに引き返してきました。

 

まず、滞在中に何度も足を運んだジェネラルストアで道中の食料とちょっとしたお土産を購入し、ソルトレイクシティまでの500kmを超える長旅に備えて給油しました。左側から2台目の国産コンパクトカーが今回のわたしの旅のパートナーです。f:id:greenbirdchuro:20190706200440j:plain

 

そして、ジェネラルストアの裏にある郵便局へ。一人で駐在していた白髭のおじさん局員に友人に宛てた絵葉書を託しました。(この絵葉書は1週間ほどで友人の元に届きました。グランド・ティトンから出したものと同時に着いたそうです。)f:id:greenbirdchuro:20190707201622j:plain

 

ふだんの行いが良いせいか(?)、わたしが到着する前日には雪が止み、その後の晴天で積雪もかなり溶けました。側道やトレイルの閉鎖はありつつも、主要道路の通行止めはほとんど解消されたので、縦横無尽に駆け巡り、予定していたものの大半は見ることが出来ました。1ヶ月ほど滞在しているなんて羨ましい人にも何度か遭遇したので、限られた時間の割にかなり頑張ったと思います。

 

どこを切り取っても絵になる素晴らしい景色は、一人で楽しむのはもったいないくらいでしたが、どこはどの時間帯が良いとかどこにどんな動物が出るとか教えてくる人も多く、一人でも退屈する事はありませんでした。どうやら、自然を愛する人に悪い人はいないというのは「真」のようです。

今度こそ、本当にこの国立公園とはお別れです。さて、これからソルトレイクシティに向けた長いドライブと日本への長いフライトが始まります。

 

 

 

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