時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

地球の息吹を感じるマンモスカントリー

 

 

初日はUpper Loopからスタートしました。

 

最初の目的地マンモスカントリーイエローストーンの8の字グランドループの左上にあります。ウエスイエローストーンからノリス経由で向かう予定でしたが、ノリスからの北上ルートは数日前から雪で不通。当面は開通しないようなので、キャニオンカントリーとルーズベルトカントリーを経由して向かいました。f:id:greenbirdchuro:20190630002722j:image

 

ちなみにこの遠回りルートも雪による通行止めが前日に解除されたばかり。道路は除雪されていましたが、道中は完全な雪景色でした。f:id:greenbirdchuro:20190630003554j:image

 

マンモスカントリーの手前の北口ゲート近くには、ホテル以外にもレストランやガソリンスタンドや診療所も備えた規模の大きいマンモスビレッジでがあります。通年オープンしているのは公園内で唯一ここだけ。このあたりの地表温度は高いようで雪はすっかり消えていました。このビレッジの周辺には奈良の鹿並みにエルクがいて、もれなくエルクの群れがお出迎えしてくれます。f:id:greenbirdchuro:20190629131040j:image

 

マンモスカントリーはマンモス・ホットスプリングスを中心にアッパー・テラスロウアー・テラスに分かれています。トレイルのあるロウアー・テラスは徒歩で、アッパーテラスは車で周ってみようと思います。f:id:greenbirdchuro:20190629232022j:image

 

ビレッジを通り過ぎてすぐ、硫黄の匂いとともにテラスマウンテンが見えてきました。テラスマウンテンは地底から湧き出した大量の温泉の石灰分が長い間かけて幾重にも積み重なり、石灰棚(石灰華段)を形成したもので、同じような景色をトルコのパムッカレ中国の黄竜で見ることができます。日本だと山口の秋芳洞にもありますが、ここにはそれがいくつもあります。

 

テラスマウンテンの手前に番人のように構える リバティキャップは、石灰岩でできた自然の塔です。平らな地面から突然突き出したようにも見えますが、地面から湧き上がった温泉の噴出物が幾重にも重なって石筍のように積みあがっていき、100年の歳月をかけて10m以上の高さになりました。100年を長いと感じるかどうか・・・ですが、鍾乳洞の鍾乳石は100年で1㎝も成長しないらしいので、相当な早さではないかと思います。ちなみにこの20年で1㎝も伸びていないわたしも完敗です。現在は噴出口が沈殿物で塞がれて成長を止めていますが、またいつか息を吹き返すかもしれません。f:id:greenbirdchuro:20190629131057j:image

 

現在のテラスマウンテンで最も活動的なのがこのパレットスプリングです。積みあがった石灰棚がまるで巨大なデコレーションケーキのように見えます。ガイド本の写真とは全く違った形に見えましたが、1日2トンもの石灰が地底から運び上げられているので1週間もすると姿形が変わってしまうんだとか。f:id:greenbirdchuro:20190629131050j:image

カッパドキアの石灰棚は白一色でしたが、こちらはカラフル。温泉が湧出している所にはバクテリアが生息しているので青や白やオレンジと色彩豊かです。f:id:greenbirdchuro:20190629131054j:image

温泉の湧出が止まった部分は乾燥して真っ白に変わり、さらに時が経つと酸化したり汚れたりして灰色に変わっていきます。f:id:greenbirdchuro:20190629131031j:image

 

パムッカレや黄竜秋芳洞との大きな違いは、その成長・変化のスピードです。湧き上がる石灰の量も多いですが、ここでは、温泉が流れ出しては止まり、また別の所から流れ出しては止まりを繰り返していて、テラスマウンテン全体が常に姿形を変え続けています。何回訪れても毎回全く違った景色が見れるのも納得です。f:id:greenbirdchuro:20190629131044j:image

 

これは悪魔の親指(Devil's thumb)です。温泉の流出量が減少しているようで、かつての写真で色鮮やかだった石灰棚が乾いてしまったところも多く見られました。周囲の石灰棚が黒く変色してくると目立たなくなって迫力半減しそうですね。f:id:greenbirdchuro:20190629131034j:image

 

今は枯れたJupitar springも、その名前がかつての美しさを物語っています。f:id:greenbirdchuro:20190629221057j:plain

 

ロウアー・テラスのトレイルはとても歩きやすく1周30分ほどで回れるようになっていました。写真を撮りながらゆっくり歩いても1時間ほどです。でも、ガイド本や他の人の旅行記の写真とは全く違う姿にかわってしまったものが多いので、ひとつひとつパネルの名前と見比べて確認しながらの観光になります。f:id:greenbirdchuro:20190629131106j:image

 

トレイルを登っていくとマンモスカントリー周囲の雄大な景色も楽しめます。f:id:greenbirdchuro:20190629221544j:plain

 

マウンドテラスはその色合いから温泉の湧出が止まって長い時間が経過していることがわかります。このテラスが何年前からあるのかわかりませんが、テラスマウンテン全体の形成は8000年前から今も途切れることなく続いています。f:id:greenbirdchuro:20190629131046j:image

 

1970-80年代にここを代表する名所だったミネルヴァテラス。段丘の形は変わらずに残っていますが、そこにかつての華やかさはありません。f:id:greenbirdchuro:20190629223215j:plain

 

New blue springも、いつnewだったのか、どこがblueなのかわかりません。f:id:greenbirdchuro:20190629225427j:plain

 

ミネルヴァテラスの南側にあった温泉です。以前と比べて湧出量が減ってきているとはいえ、この辺はまだまだ温泉が湧き出ています。f:id:greenbirdchuro:20190629225147j:plain

 

次は、車でアッパーテラスドライブを巡ります。一方通行のドライブロードなので道路は多少狭くても対向車の心配をすることなく運転することができます。

 

松が石灰に閉じ込められて立ち枯れしているニューハイランドテラスは山火事の後みたいでなんだか物寂しい景色です。テラスマウンテンでの温泉の湧出は気まぐれ。突然に湧き出した温泉のせいでこんな風に木々が立ち枯れしてしまうのは可哀そう。しかも散々に木を枯らした温泉の湧出口がどこかへ移動してしまった後の景色がなんだか切ない。これもイエローストーンが生きているってことなんですけど。f:id:greenbirdchuro:20190629131100j:image

 

ホワイト・エレファント・バック・テラスは言われてみれば確かに象の背中に見えますね。f:id:greenbirdchuro:20190629225953j:image

 

オレンジ・スプリング・マウンドの何種類もの鮮やかなオレンジ色はバクテリアのなせる業なのだそうです。でもちょっと枯れかけていて、このオレンジが見れる時間もそんなに長く残されていなさそうですね。f:id:greenbirdchuro:20190629221751j:plain

 

アッパーテラスの展望台にやってきました。f:id:greenbirdchuro:20190629221754j:plain

テラスマウンテンの上はこんな風に平坦になっていて、温泉が沸いているそこかしこから湯気があがる様子が見えています。f:id:greenbirdchuro:20190629131037j:image

 

イエローストーン国立公園は北アメリカ大陸最大の火山地帯にあります。これまで60-70万年前後の周期で巨大噴火を起こしていて、前回の巨大噴火から既に60万年が経過しているので次がいつあってもおかしくありません。巨大噴火が起きたら、国立公園が完全に消えてなくなるだけではなく、火山から半径1000km以内に住む人の90%が窒息死し、地球の年平均気温は最大10度まで下がることが予想されています。マンモスカントリーで地底から湧き上がる現役の石灰棚や間欠泉を見ていると、この火山が今も生きていることを実感します。そして、いずれ来る大噴火に備えていると思うと自然を相手に為す術のない人間の小ささを実感し、とても怖ろしくなりました。

 

この瞬間のマンモス・ホット・スプリングスがWebcamで見れます。Now↓

https://www.nps.gov/customcf/webcam/dsp_webcam_image.cfm?id=81B46877-1DD8-B71B-0B3AE970F8B16715

 

 

 


 

 

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