時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

忠実な間欠泉「オールドフェイスフル・ガイザー」

 

 

いよいよ、ガイザーカントリーに戻ってきました。まずはこの国立公園で最大のビレッジがあるアッパー・ガイザー・ベイスンからスタートします。f:id:greenbirdchuro:20190706204047j:image

 

ビレッジの中心はオールドフェイスフル。宿泊施設、レストラン、ジェネラルストアやカーリペアの出来るガソリンスタンド、郵便局、医療機関・・・なんでもありました。f:id:greenbirdchuro:20190706204112j:plain

 

アッパー・ガイザー・ベイスンには公園内で最大の目玉と言える間欠泉オールドフェイスフル・ガイザー(Old Faithful Geyser)があります。公園内で最初に名前をつけられたことを考えると「Old」は容易に想像がつきますが、「忠実な」を意味する「faithful」は、この間欠泉がかつてキッチリ45分おきに噴出していたことに由来します。さすがに45分キッチリということはなくなりましたが、1回の噴出が2分30秒以内に終われば次回は65分後、それ以上続くようなら次回は92分後と、その忠実さは今でも健在です。こんなに正確に噴出するのは他の間欠泉につながっていないからだそうですが、予定時刻に前後することもたまにはあるみたいです。(滞在中はほぼジャストでした。)f:id:greenbirdchuro:20190705223926j:plain

 

予定時刻が近づくとビジターセンターのすぐ裏にあるカイザーの周りには、何処に隠れていたのかと思うほどワラワラと大勢の人が集まってきます。1㎞ほどの外周にはガイザーを取り囲むようにベンチが配置されていて、そこから噴出ショーを楽しむことができます。(と言っても、いざとなると総立ちですけどね。)
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ビジターセンターに掲示されている予定時刻が近づいてきました。それまで静かに蒸気が立ち昇っていた土手から本当に突然に熱水の噴出が始まります。最初はちょっとおとなしめ・・・。f:id:greenbirdchuro:20190705224157j:plain

そしてあっという間に30〜55mもの高さに!約4万リットルの熱水が垂直に噴き上げる迫力たるや思わず歓声を上げずにはいられません。数分にわたる噴出が終わると一斉に拍手が起こります。この拍手は、ガイザーの見せてくれた素晴らしいパフォーマンス予告通りのタイミングという忠実さに対する称賛に間違いありません。f:id:greenbirdchuro:20190629131456j:image噴出が終わったガイザーは、まるで何事も無かったかの様に蒸気が立ち昇る静かな土手に戻ります。そして周りを取り囲んでいた大勢の観客も一斉に散っていきます。この辺りの標高は2245mなので水の沸点は93度くらいですが、この熱水の温度は96度あるそうなので、大昔に習った理科の知識で単純計算してみても1000m以上もの地下から熱水が吹き上がって来ているということになるはず・・・。

ちなみにWebcamでリアルタイムのオールドフェイスフル・ガイザーが見れます。

https://www.nps.gov/yell/learn/photosmultimedia/webcams.htm#onthisPage-0

 

オールドフェイスフルのランドマークは、1904年に開業した世界最大のログハウス「オールドフェイスフル・イン」です。大きさもさることながら、100年以上前にこんな大きなログハウスを建てた技術に感心します。そうなると泊まってみたくなりますが、考えることは誰でも同じで、ここの宿泊予約を取るのは至難の技です。ダメ元でトライしてみましたがカスリもしませんでした。でも、建物を見るだけでも価値があると思います。f:id:greenbirdchuro:20190705224040j:plain

 

もちろん、入ってみました! 建物に足を踏み入れると、4階まで吹き抜けになった高い天井のロビーとその真ん中にそびえ立つ25mの巨大な暖炉にびっくりです。流紋岩でできた暖炉は無骨ながら味のある風体です。その上部にはこれまた大きな振り子時計があります。開業当時から100年以上も時を刻み続けているというからまたまた驚きです。吹き抜けになった各階のテラスからロビー全体を見渡せる造りになっていました。
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周囲を見渡すと使われている丸太があまり加工されていないことに気がつきます。大きな暖炉と自然のままの木材がつくる広い空間はとても穏やかです。忙しなく動き続けてたわたしも、備え付けの椅子に腰かけてその空間に身をおいていると、優しい時間というものがあるとしたらとこういうことなのかもしれないなんて思ったり。f:id:greenbirdchuro:20190705224108j:plain

 

ロビー階には広いダイニングがあり、昼食ビュッフェのための長い行列ができていました。行列を見るとついつい並んでしまうのは、東京在住者の悲しい性・・・。正直なところ、ビュッフェに関しては並ぶほどの料理ではありませんが、丁寧なサービスと開放感がある上品な雰囲気のダイニングは一見の価値ありです。f:id:greenbirdchuro:20190705224007j:plain

 

ファイヤーホール川を渡った先にガイザー・ヒル・ループというトレイルのスタート地点があり、このトレイルを歩けば、アッパー・ガイザー・ベイスンエリアの間欠泉や熱水泉を楽しむことができます
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トレイル沿いにある間欠泉や熱水泉に名前が付いているものだけでも無数にあり、全てに解説が付いているわけではないので、わたしなりの解釈がかなり入っていることをご了承ください。

 

インファント・ガイザーは近くにあるジャイアンテス・ガイザーの子供という意味のようです。かつては親ガイザーと一緒に噴出する透明な間欠泉でした。泉質がアルカリ性から酸性に変化してグレーに濁ってしまい、1964年以降は噴出していないようです。f:id:greenbirdchuro:20190630202145j:plain

 

ジャイアンテス・ガイザーの噴出は年に数回。1度も噴出しない年もあったり、休眠期間が不定期で噴出予想が難しい間欠泉です。長い休眠期間の後の噴出はダイナミックで、最大60mまで達するそうです。f:id:greenbirdchuro:20190630202154j:plain

 

ティーケトル・ガイザーは恐らく名前通りの意味なのだと思いますが、あまりにも似た特徴のものが多くてその名づけに賛否両論があるとか。f:id:greenbirdchuro:20190630202159j:plain

 

ポンプ・ガイザーはずっとボコボコしているので名前がしっくりきます。 
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スポンジ・ガイザーも、頻繁にボコボコと噴出していますが、その高さは数cmにしか達しません。それでも正式な間欠泉なんだそうです。f:id:greenbirdchuro:20190630203156j:plain

ダブル・プールは美しい色彩の熱水泉です。正式な間欠泉ではありませんが、短時間で水位が変動するあたり、地上に噴き上げなくても内部では熱水が周期的に噴出しているんだと思います。f:id:greenbirdchuro:20190629131459j:image

 

いくつかの間欠泉が集まったライオン・ガイザーは噴出していない間でも蒸気の放出に伴ってライオンの唸り声のような轟音を発していることが名前の由来です。最大で20mも噴き上げることがありますが、噴出は予測不能だとか。f:id:greenbirdchuro:20190630203334j:plain

20以上の噴出孔から頻繁に噴出しているのはパスモディック・プール
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かつてオイスター・プールと呼ばれていたベルギアン・プールは静かな熱水泉です。1929年にキャッスル・ガイザーの噴出に駆け付けたベルギー人新聞記者が誤って転落して亡くなったという悲しい由来があります。実は、イエローストーンでは熱水泉に転落して亡くなる人や動物が後を絶ちません。しかも、転落後はあっという間に跡形もなく溶けてしまうそうです。f:id:greenbirdchuro:20190630203438j:plain


グランド・ガイザーは、噴出時間の予測できるものでは世界最高の高さ(60m)に達するダイナミックな間欠泉として知られています。ただ垂直に噴きあげるだけでなく緩急に富んだ噴出スタイルと周囲の小さなガイザーとのコラボレーションは見ていてとても面白いそうですが、予定時刻が夜中だったり、他のビレッジへの遠征中だったりして見ることができませんでした。f:id:greenbirdchuro:20190630203548j:plain

繁殖したバクテリアでオレンジ色をしたエコノミック・ガイザーは熱水泉に見えますが、何十年も休眠中の間欠泉です。
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直径18mのビューティープールは中央から青→緑→オレンジ→茶とグラデーションがかかるモーニング・グローリー・プールと並ぶ美しい熱水泉です。f:id:greenbirdchuro:20190630203735j:plain


崩れたようなコーンのジャイアント・ガイザーは40年以上の長い休眠状態から目覚めて1997年頃から再び噴出し始めました。80m近くまで噴き上がることもあったようですが、2010年以降は再び休眠しています。ボコボコと音を立てて蒸気を出しているので、またいつか目覚めそうですが。
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イタリア語のグロット(小さな洞窟)に由来する奇妙な形のグロット・ガイザーのたてる蒸気の音は荒波のようです。噴出の高さはせいぜい3mほどですが、長い時には10時間以上も続き、緩急があるので、緩やかに噴出しているタイミングで通りかかってしまうと噴出中であることに気がつきません。
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公園内で最も古い間欠泉のキャッスル・ガイザーは約半日に1度の周期で30分ほど噴出します。噴出口には温泉の沈殿物(湯の花)でできた3.6mのコーンがあります。
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トレイルのゴールはモーニング・グローリー・プールです。直径6mほどで深さ7mのすり鉢状の形が朝顔に似ているのは見ての通りです。トレイルのゴールに相応しい納得の美しさです。だだし、名前が付けられた1880年代には、もっと澄んだブルーだったそうです。投げ込まれたコインやごみで温泉の湧出口が塞がれて、温度が下がってしまった結果、繁殖したバクテリアでプールの外周が黄褐色に変色しまったんだとか。今のグラデーションも妖艶でキレイですが、その事実を知っちゃうとちょっと残念。定期的に清掃をしているようですが、まだここに物を投げ込む人がいるとしたら本当に残念なことです。
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昼食ビュッフェの食べ過ぎで苦しかった上に、あれこれと写真撮りまくりで、1時間が目安とされるトレイルに2時間以上もかかってしまいました。

 

 

 


 

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