魅惑のハンガリーグルメ
ハンガリーと聞いて真っ先の思い浮かぶのはトカイ地方産地「トカイワイン」。貴腐ワインと言えばピンと来る人も多いかも?フルーティながら蜂蜜のような甘さは食前酒・食後酒にぴったりです。2つの川が合流するトカイ地方では、秋から冬の朝方に濃霧が発生する独特の気候でブドウに貴腐菌というカビがつきます。カビと聞くと「ウェッ」な気もしますけど、貴腐菌のついたブドウは水分が少なくて糖度が高くなるので、甘い貴腐ワインが出来上がるというわけです。果物は腐りかけが美味しいってやつですね。
きっかけはオスマン帝国の侵略。人々が村を離れている避難している間に、ブドウが収穫時期を逃してカビてしまったことだと言われています。諦めきれずそのブドウでワインを作ったら良いものができちゃった!ってことだそうです。でも、トカイ地方の貴腐ワインがそれより前からあったという記録もあるようなので、この伝承の真偽は怪しそう・・・。当然ながらレストランのワインリストにはトカイワインがずらっと並んでいました。食事と一緒に楽しめる辛口のトカイワインもありましたよ。
地元の人が飲むビール!とオーダーしたらSoproni (ショプロニ)が出てきました。アクがないので、料理の味を邪魔せず、さっぱりとしています。滞在中のハンガリーは昼間になると夏のような暑さだったので、飲みやすさもあってグイグイといってしまいました。ショプロニは、Dreher (ドレーヘル)・Borsodi (ボルショディ)と並ぶハンガリービールの三大ブランドですが、実は現在はオランダのビールメーカー Heineken (ハイネケン)のグループなんです。言われてみれば、なんか似てると思いましたよ。でもちゃんとオリジナルの味は残っている感じでした。
そして、ハンガリーで出会った美味しいもの。
ハンガリーはスープ料理のバリエーションも豊富でした。ヨーロッパの春といえば、アスパラガスの季節です。日本では年中食べれるイメージですが、ここではまさに季節もの。グリルもいいけど、今回はスープで頂きました。
アスパラガスの味が濃いんです。それに塩加減もちょうど良い。料理のボリュームを考えてあまりパンに手を出さないようにしていたのに・・・ホントにすすんじゃうんですよね。
ちなみに、スープ料理の代表はプラハでも食べたグヤーシュ。ハンガリーのグヤーシュはルーやスメタナでとろみをつけないので、他の国のものよりもさらっとしていて、シチューというよりスープでした。
ハンガリー料理で真っ先に思い浮かぶのはサワークリームとパプリカのソースで鶏肉を煮込んだシチュー「パプリカチキン(チルケパプリカーシュ)」じゃないかと思います。唐辛子をよく使うことでヨーロッパで最も辛いと称されるハンガリー料理ですが、同じくらいパプリカを使うので、辛味よりもまろやかさが強くてシチューの味に深みがありました。添えてある小さなダンプリング「ガルシュカ」がニョッキみたいにモチモチしていてシチュー系にはぴったりなんです。チェコでダンプリングと言えば甘みのある蒸しパンみたいなものでしたが、お料理に合うのは断然こっち!気に入ったので他のお店でも何度かリピートしました。お店ごとに独自の味が楽しめます。そして・・・スーパーで買ってしまいましたよ、パプリカソース↓↓↓家でもパプリカチキンに挑戦してみるつもりです。
日本でいうところのロールキャベツ「トルトットカーポスタ」。みじん切りした玉ねぎと肉、そしてパセリが入ったハンガリーを代表する郷土料理です。このソースにもパプリカがふんだんに使われています。トマトソースの酸味とパプリカのまろやかさが絶妙でした。
しかし、一人分とは思えません。ガテン系成人男性の拳くらいのロールキャベツが3つですよ!!
ベーチ・セレットは薄いカツレツのシュニッツェルのことです。これは、旧ハプスブルク帝国領とその付近には絶対にありますね。これしかないの?と言うくらいこればっかり出てくるとこもあります。ちなみにこれは、塩加減も揚げ加減も合格。ソースで誤魔化さないところも好感が持てます。ただ、サイズがね・・・わたしが両手を広げたくらいですから。
世界三大珍味の一つとして有名な高級食材フォアグラの生産量がフランスに次ぐハンガリー!だから、驚くような価格でおいしいフォアグラを嫌と言う程ほど食すことができます。これで、一人分の量だから驚き!どの店でもリンゴのソテーが添えてあったけど、恐らく消化吸収の助けになるのかも?大きいけど、大味ではなかったです。口の中にとろけ広がるフォアグラの甘みは、これが脂だとわかっていても止めることはできません。夢に出てきそうな幸せなひと時でした。
もちろん、牛肉だって美味しく食べれます。ハンガリー料理のカテゴリーとは言えないでしょうが、フィレステーキも美味。添えられたマッシュルームソースが相性抜群でした。
〜〜〜番外編〜〜〜
あまり食べる機会のなかったスイーツですが、とにかく安いことは確かです。駅の売店で売っていたケーキがだいたい90〜100円くらいでした。菓子パンに至っては20〜30円で食べれてしまいます。
そして、お気に入りがトゥーロールディ!40年以上もハンガリーで愛され続けている国民的お菓子です。レトロな包み紙を開けると・・・そこにはカッテージチーズをココアクリームでコーティングしたお菓子。レモンが香る甘い酸味のあるカッテージチーズは意外にもさっぱりしているので、手が止まらなくなります。スーパーマーケットで手軽に買うことができ、バラマキ土産に最適!と言いたいところですが・・・中身がチーズゆえに要冷蔵。売り場でも乳製品と一緒に冷蔵ケースに並んでいました。この時期のハンガリーでは諦めざるを得ませんでした。
ハンガリー料理がなぜ世界三大料理に入っていないのかわからない!!それくらい気に入りました。ルーツがマジャール料理にあるせいか、日本人の舌に合う気もします。それに、他の旧ハプスブルク帝国領とは比較にならないバリエーション。ハンガリー人は同じ料理についても地方の間に激しい競争意識があるらしく、その向上心の強さも美味しい料理のモトなんでしょうね。
できればもうひと月くらい滞在してハンガリーグルメを楽しみたかった・・・。後ろ髪引かれながらの列車移動が始まります。