時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

大聖堂とくさり橋と二人のイシュトヴァーン

 


ブダペストをより深く知って町歩きを楽しむために、絶対に知っておかなければいけない人物がいます。何度も耳にするその方の名前はイシュトヴァーン1世。六端十字架を手に他の英雄を率いる堂々とした英雄広場でのお姿が記憶に新しいあのお方です。↓↓↓f:id:greenbirdchuro:20190521180839j:plainアジア系の遊牧民を祖先に持ちながら初代国王となり、国の発展のためにキリスト教ハンガリーに根付かせた聖王とも呼ばれる英雄の中の英雄。凄すぎて1083年には列聖されました。つまり、聖人になっちゃったってことですよね?

 

その英雄の名を冠した聖イシュトヴァーン大聖堂は、美しいブダペストの街並みの中でひときわ存在感を放っています。路地からチラリと見えただけでも放つオーラを隠しきれていません。聖堂前広場がたくさんの観光客で溢れかえっているのが遠くからでもわかります。f:id:greenbirdchuro:20190519220133j:plain

 

このネオ・ルネサンス様式の大聖堂はハンガリー建国1000年を記念して建設がスタートしました。災害やら何やらで何度か工事を中断しながらも約50年の歳月をかけて1905年に完成したブダペストのシンボルです。高さ96mの大きなドーム型の屋根と空に向かって伸びる2本の尖塔が印象的です。f:id:greenbirdchuro:20190520194641j:plain

 

大聖堂内に入るには入場券を買う代わりに入り口で200フォリントの寄付をすることになっていました。展望台(パノラマ)と宝物館はそれぞれ有料でした。f:id:greenbirdchuro:20190521172747j:image

 

大聖堂内部に足を踏み入れると・・・そこには黄金色に輝く荘厳な空間が広がります。まばゆいばかりの彫刻や聖人絵画やモザイク画が所狭しと壁や天井を彩っていました。入り口から見える奥の中央祭壇にはキリストの代わりに聖イシュトヴァーンの大理石像が安置されていました。f:id:greenbirdchuro:20190519220403j:plain

列聖されたとは言え、イエス・キリストや聖マリアを差し置くポジション・・・イシュトヴァーンってどんだけぇ〜?ですよね(古くてすみません)。

 

天井の丸窓から降り注ぐ光が祭壇を照らし、神秘的。f:id:greenbirdchuro:20190519220410j:plain

 

立派な聖堂には欠かせない立派なパイプオルガン。f:id:greenbirdchuro:20190519220704j:plain

 

そして、危うくスルーするとこだったこの大聖堂の一番の見所!もちろん、絵画も素晴らしいですが、絵の前にある聖遺物箱の中にそれはありました。なんと、イシュトヴァーン1世の右手のミイラ!f:id:greenbirdchuro:20190520225758j:plain列聖された聖王の遺体から長く失われていた聖なる右手は、トランシルヴァニアで発見された以降も各地を転々として、1771年に女帝マリア・テレジアによってこの地に戻されました。ちょっとえぐいので画像は自粛しますが、ここはありがたく拝観させていただきましたよ。

 

聖堂に見るべきものが多すぎたせいか(有料のせいか)付属の宝物館はガラガラで貸切同然でした。ミイラの後だと何を見ても霞んじゃうのかもしれないですね。f:id:greenbirdchuro:20190523233340j:image

 

ここの見所は大聖堂の中だけではありません。364段の階段でドームを登ればブダペストのパノラマを堪能することが出来ます。f:id:greenbirdchuro:20190519220721j:plain登った風な写真を載せてみましたが、実はエレベーターを使った楽々コースがありますので、ご心配なく!

 

直径22mのドームの内側はこんな風にがらんどうになっていました。f:id:greenbirdchuro:20190519220726j:plain

 

ドームを挟むように建っていた塔がすぐ目の前に迫っています。f:id:greenbirdchuro:20190519221357j:plain

 

眼下には、ドナウの真珠とかドナウの薔薇だとか呼ばれる、とにかく美しい街のパノラマが広がります。見えてる景色のかなりの部分が世界遺産なんて、贅沢な眺め・・・。f:id:greenbirdchuro:20190519221336j:plain

 

ドナウ川沿いに世界で最も美しいともいわれる国会議事堂がチラ見えします。f:id:greenbirdchuro:20190519220737j:plain

川向こうのブタ側に王宮も見えました。f:id:greenbirdchuro:20190519221348j:plain

 

360度のパノラマを楽しんでいると・・・

騒々しい爆音が聞こえてきました。こんな美しい街でも暴走する輩がいるなんてガッカリ・・・と思っていたら、なんとすぐ目の前の通りでカーレースをやっていました。f:id:greenbirdchuro:20190519220752j:plain

ピットインしてますね。f:id:greenbirdchuro:20190519220755j:plain初めて見る街中でのレースにちょっと興奮!でも、ちょっと待てよ・・・レースしてるこの通りは・・・アンドラーシ通り・・・世界遺産じゃん!なんと贅沢!いや、無謀?

 

レース見物は一旦終了して、パノラマに戻ります。

目がとまったのは、屋根のデザインと色使いがかわいい郵便貯金。ガウディと並び称されるアール・ヌーヴォー建築家レヒネル・エデンの作品です。f:id:greenbirdchuro:20190519220740j:plain今見ても目立つくらい独創的なので、当初はウケが良くなかったそうです。しかも地上から見えない屋根へのこだわりは、当時の人々には理解されなかったでしょうね。それを揶揄されて「鳥が見るじゃないか」と答えた彼・・・時代が彼に追いついてなかったんですね・・・多分ですけど、わたし、この人のこと好きですね。

ドームを降りた後に見に行って見ましたが、残念ながら内部の見学はできませんでした。でも、マジャール民族の伝統装飾を取り入れた独特なデザインの外観だけでも見る価値がありました。f:id:greenbirdchuro:20190521183242j:plain

 

大聖堂からドナウ川に向かって歩いて行くと、正面に巨大な釣り橋が見えてきました。ブダ地区とペスト地区を結んだ最初の石橋、全長380m・幅14.8 mの「セーチェニ鎖橋」です。 f:id:greenbirdchuro:20190520194453j:plain空に向かって伸びる鎖の様な2つのレーンの中央を走る車道の左右の欄干が歩道になっていて歩いて渡ることが出来ます。もちろん歩いてみましたとも!

 

くさり橋の左右入口にはそれぞれライオン像が配置されていました。このライオン像に舌がないことを酷評された彫刻家のマルシャルコー・ヤーノシュがドナウ川に身投げしてしまったという逸話の残るいわくつきのライオンです。舌あるんですよ、見えてないだけで。f:id:greenbirdchuro:20190521182657j:plainこの橋の建設はブダペストの悲願でした。15世紀から何度も橋を架けようとしては頓挫・挫折したそうです。 そこで私財を投げ打ったのがセーチェニ・イシュトヴァーン伯爵。ハイ、来ました!なんか聞いたことありますよね、初代国王とは別人ですが温泉の名前にもなってますし、こちらもなかなかの英雄に決まってます!設計はテムズ川にロンドン橋を架けたウィリアム・ティアニー・クラークで1849年の完成まで10年の歳月を要しました。

ブダ側まで渡ってきました。向こう正面に大聖堂のドームが見えています。f:id:greenbirdchuro:20190522195848j:plain

アダム・クラーク広場越しに見えるブダ側の橋の入口にも2頭のライオン像が陣取っています。ペスト側の2頭とともにまるで橋を守っているようです。f:id:greenbirdchuro:20190520194517j:plainこのくさり橋のおかげでブダペストの都市機能が一気に発展して行ったんですね。

 

商業地区のペスト地区から王宮エリアのブダ地区に突入です。

 


 

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