時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

ケルン旧市街とドイツグルメ

 

 

大聖堂のすぐ南にローマ・ゲルマン博物館がありました。今回は入場しませんでしたが、ここにはローマとゲルマン文化が融合した時代の文化財が展示されているそうです。こんな一等地にローマ博物館?と思いましたが、ケルンはローマ帝国の植民地だったので、当然と言えば当然です。街の名前Cologneだってラテン語の植民地Colonia(コロニア)由来ですし。しかも、この土地に目をつけたのは初代皇帝アウグストゥスの盟友アグリッパ。つまり、街の歴史はローマ帝国と共に始まったと言っても過言ではありません。最盛期には3万人が暮らしていたそうですから、文化財がザクザク出てきたって不思議はないですよね。f:id:greenbirdchuro:20190621085454j:plain

 

ホーエンツォレルン橋のたもとにはヴィルヘルム2世の騎馬像が立っています。29歳の若さでドイツ皇帝・プロイセン王に即位したヴィルヘルム2世の治世は初めこそ好評でしたが、次第に外交ばかりに注力するようになっていきます。植民地獲得に熱心になるあまり他の帝国主義国との間に軋轢が生まれ、その結果が第一次世界大戦でした。となるとお決まりコースで、戦争で疲弊した国民が選んだのはドイツ革命。退位後も亡命先のオランダから帝政復古を画策しますが、ヒトラーの台頭などで実現には至りませんでした。経歴だけだと完全なる戦犯に思えますが、ケルン出身でもないのにここに騎馬像があるのはなんで?と思わないでもありません。f:id:greenbirdchuro:20190619214605j:plain

 

ケルン大聖堂から南へ歩いてすぐの旧市街にアルター マルクト(旧市場)があります。名前から想像するように中世にはここに巨大な市場がありました。馬上やり試合が開かれることもあるケルンの中心広場だったそうです。今でもイベント時やクリスマスシーズンにはとても賑わうようです。広場の周りを取り囲むカラフルでかわいらしく伝統的な建物を見ながらカフェで一息つくにはぴったりな場所です。f:id:greenbirdchuro:20190619214659j:plain

 

アルターマルクト広場の中央には三十年戦争で功績をのこした陸軍大将ヤン・ファン・ヴェルトを讃えて1884年に造られた大きな噴水がありました。そして、台座のレリーフに綴られていたのは彼の恋物語。貧しさゆえにグリートという女性への恋心が成就しなかったファン・ヴェルトが陸軍に入って立身出世し、貴族の女性と結婚して街に戻ってみると年老いたグリートが過去を心から悔いていたという話です。切ない?いやいや、そういうのを自業自得っていうんですけど・・・。でもグリートの身になると、レリーフにしちゃうなんてちょっとひどくない?というか当てつけにしか思えないんですけど・・・。f:id:greenbirdchuro:20190619214610j:plain

 

アルターマルクト広場の東側にはマルティン教会があります。ゴシック様式の教会が多いケルンの中で比較的珍しいロマネスク様式です。カトリック教会の割に質素に見えますが、なんとも歴史を感じさせる佇まいです。建てられたのは12世紀頃ですが、多くのケルンの建物同様に第二次世界大戦時に空爆を受け、修復に20年ほどかかっています。f:id:greenbirdchuro:20190619214828j:plain

 

マルティン教会は、あたかも住宅地に突然現れたようにも見えますが、教会の尖塔や屋根はライン川の対岸からもはっきりくっきり見えていました。中央の塔なんか84mもあるし十分に大きいです。それなのに、近くにあんな立派な大聖堂があるせいで、見劣りするというか・・・印象が薄れている感じですね。f:id:greenbirdchuro:20190621085605j:plain

 

こっちが正面なんですけど、シンプルにもほどがあるって感じです。 f:id:greenbirdchuro:20190619214745j:plain

 

予想通り、内部もごくシンプル。でも、淡い色合いの壁と木製の椅子が柔らかな雰囲気を醸し出していてなんだかとても落ち着きます。f:id:greenbirdchuro:20190619214747j:plain

 

 

コルピング広場にはカトリックの司祭が労働者と握手をしている立派な銅像がありました。この司祭は広場の名前にもなっているアドルフ・コルピングです。貧しい出自ながら聖職者となったアドルフ・コルピングは、労働者の権利と地位向上のために尽力しました。よく知らなかったんですが、没後100年の記念切手が発行されるくらいドイツでは重要な人物なんですって。f:id:greenbirdchuro:20190619214833j:plain

 

ノイッサー広場聖アグネス教会は1896年から1902年の間に建設されたカトリック教会です。60m以上もある塔に目が行きますが、長さ80m・幅40mの聖堂の規模はケルンで大聖堂の次の大きさです。中に入ることはできませんでしたが、 味のあるネオゴシック様式の外観を見るだけでも価値があると思います。ケルンの街にたくさんある教会の中でも特に印象的でした。f:id:greenbirdchuro:20190619214921j:plain

 

ドイツグルメについてもちょっとばかり紹介します。

 

まずは本場のケルシュビールから。日本でもお目にかかる銘柄ガッフェルケルシュは、ラガーのようなキレとピルスナーのようなさわやかさを併せ持つ軽い飲み口のビールです。ドイツのビールは温いことも多いですが、きっちり冷えていました。炭酸も軽めなのでついついグビグビいってしまうのですが、グラスが空になるとオーダーしなくてもわんこそばのように次のグラスがテーブルに配られてしまうシステムは油断なりません。意思表示のタイミングが難しく何杯もお替りする羽目になりました。f:id:greenbirdchuro:20190619214940j:plainちなみにケルシュとは上面発酵の酵母を使用しながら、下面発酵並みの低温で熟成させるケルン地方の伝統的製法で醸造されたビールを指します。製法と同じくらい大事なのはケルン地方で醸造されたかどうか。日本を含めた各国にケルシュを名乗るビールはありますが、この製法にのっとって醸造しても、あくまでもケルシュ風でしかないんだそうです。

 

カリーヴルストは、焼いたソーセージ(ヴルスト)の上にケチャップとカレー粉をまぶした単純なファストフードです。誕生のきっかけは・・・西ベルリンのソーセージ屋台で退屈しのぎに材料を混ぜた結果だとか、エッセンのソーセージ屋台でカレー粉の入った缶をケチャップの中に落とした偶然からだとか言われていますが、要ははっきりしていません。二次大戦後にドイツ全土に普及した国民食であるということは確かです。ちなみに特別美味しいわけでもありませんが、クセになるというか、ベルリンで出会って以降、見かけると買って食べてしまいます。f:id:greenbirdchuro:20190619214949j:plain

 

ベルリンで出会ってファンになった料理がもう一つありました。何日も塩漬けにした豚すね肉を香味野菜や香辛料と一緒に数時間かけてコトコト煮込んで作るアイスバインです。見た目は初めて人間ギャートルズに出てきそうな迫力ですが、豚肉はトロトロになるまで煮込んであるので骨から簡単に外すことができ、口に入れるとほろほろと溶けていきます。付け合わせに選ばれることが多いドイツ版の漬物ザワークラフトの酸味とのバランスが絶妙です。f:id:greenbirdchuro:20190619214952j:plain

 

中欧ではお馴染みのシュニッツェル。塩コショウだけのシンプルなものは何度も食べたことがありますが、ドイツではソースがかかっていることが多いように思います。意味不明ながらも猟師風ソースを選択してみましたが、キノコソースだったみたいです。バリエーションの少ないドイツ料理なりの努力を感じました。f:id:greenbirdchuro:20190619214956j:plain

 


独特な結び目のあるプレッツェルはドイツ発祥の焼き菓子です。食べ忘れていたことを思い出し、帰国寸前に慌てて食べました。茶色の表面がまるでチョコレートコーティングされているみたいだし、まぶされた岩塩もザラメに見えてしまって、ついつい甘さを期待してしまいますが、間違いなく塩味です。だから、おやつというよりビールのお供といった感じです。f:id:greenbirdchuro:20190620225509j:image

 

帰国便のための前泊だけでしたが、ドイツ人の几帳面で堅実なところが日本人と似ていると言われるだけあって、ドイツに入るとなんだか安心感があります。

 

今回は大きなトラブルもなく無事に帰国の途につきました。(本当は往路にロストバゲージにあってしまったんですが、翌日には届いたのでトラブルのうちには入らないかなと思っています。)

<