時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

聖なる泉セノーテで泳ぐ

チチェン・イッツァ遺跡観光を終えた正直な感想は・・・こんな密林な高度な文明を築いたマヤ人のことはとても尊敬できるけど、おどろおどろしい話が多すぎる・・・でした。彼らなりのちゃんとした理由や根拠があっての儀式なので、どんなに意味不明で残酷に見えても今の物差しで断じることは出来ませんけど、それでも心臓の弱い人はピラミッドを眺めて写真を撮ったらガイドの説明に耳を閉ざすくらいの方がいいのかもしれません。

 

アグア・デ・ハマイカを飲んで気を取り直します。甘味と酸味があって汗をかいた後にはピッタリのハイビスカスジュースでした。f:id:greenbirdchuro:20190602201756j:plain

 

チチェン・イッツァ周辺には川や湖沼がなく、天然の湖セノーテが唯一の水源でした。ユカタン半島には推定7000ものセノーテがあるといわれていて、カンクンを訪れる人にはマストの観光スポットになっています。セノーテが出来るまでは何百万年もの時間がかかります。雨が降ると石灰岩でできたユカタン半島の地面は徐々に侵食されていき、知らぬうちに地下に巨大な洞窟群が形成されていきます。その水の溜まった洞穴の屋根が崩壊して地面に開いた陥没穴がセノーテです。陥没穴の中に広がる美しく青い水中世界の神秘に人々は惹きつけられるのです。

なんて言ってはみたものの、120体も遺骨が沈んでいた沼みたいなセノーテを見ちゃうとちょっと気持ちは萎えてしまいましたけど・・・。

 

今回わたしが訪れたのは、7000もあるというセノーテの中でもちょっとした穴場、知る人ぞ知る絶景スポットセノーテ・サムラでした。当時は確かに穴場だったんですが、2018年公開のディズニー映画「リメンバー・ミー」の劇中に登場したせいですっかりメジャーセノーテの仲間入りをしてしまったようですね。f:id:greenbirdchuro:20190602201706j:plain小屋のような更衣室で水着に着替え、化粧と日焼け止めを落としました。(環境保護のために使用が禁止されています。)この先に神秘の世界があるなんて想像もつかない地味な入り口からセノーテのある地下への石階段を降りていきます。岩に囲まれた閉鎖的な長い階段を降りる時からすでに冒険は始まっています。階段の急な傾斜からはセノーテが地上からかなり深いところにあることがわかります。

 

階段を降りた先に広がる大きな洞窟の中には神秘的な小宇宙がありました。青く澄んだ水面に天井から滴る水音が心地良く響きます。その水音に混じって時たま聞こえるコウモリらしき鳴き声で我にかえりますが、またすぐに目の前の小宇宙に引き込まれてしまう・・・。中ほどにある浅瀬の岩場に地上に空いた穴から陽の光が差し込み、今にも天使が舞い降りて降りてきそう。f:id:greenbirdchuro:20190602201716j:plain

 

泳がなくてもこの絶景ですが、すでに先客がいました。 浅瀬の岩場はロープで仕切られ立ち入り禁止になっていました。水中で休憩する場所はなく、泳ぐか張ってあるロープをつたって移動するみたいです。f:id:greenbirdchuro:20190602201720j:plain

 

木で作られた階段を降りて行くと泉の底がはっきり見えてきます。入口を背にして左手ほど深くのがわかりました。他の人に倣ってライフジャケットを着て泉の中に飛び込んでみました。一瞬、冷やっとしますがすぐに慣れてきます。水が綺麗で澄んでいて海に入った時のようなベタつきもありません。f:id:greenbirdchuro:20190602202149j:image

 

セノーテの中で3〜4回足がつったものの、着せられた時はダサイ!と不満だったライフジャケットのおかげで溺れずに済みました。f:id:greenbirdchuro:20190602201733j:plain

 

浅瀬のロープの手前まで来ると小さな石が転がる底に足がつき始めます。水の中にはメダカや金魚くらいの大きさの魚が泳いでいました。どこからやってきたんでしょう・・・。少なくとも遺跡の側のセノーテみたいに骸骨が沈んでるなんてことはなさそうで一安心です。f:id:greenbirdchuro:20190602201735j:plain

 

マヤの人々もわたしと同じようにセノーテに浮かんで癒されたのかもしれません。日常生活の喧騒から離れて浮かんでいるとずっとここにいたいかも・・・なんて思えてきます。マヤの人から呼ばれたようで我に返って少し怖さを覚えました。f:id:greenbirdchuro:20190602201743j:plainセノーテは古代マヤ語の言葉で「聖なる泉」という意味です。セノーテが出来るまでかかった年月が何百万年だったとしても、マヤの人々にとっては突然に出現したように見えるわけですから、命に直結する貴重な水源が生まれた奇跡が神様がらみでないわけがありません!だからこそ生贄の遺体が120体も見つかったりするですけど・・・。

 

セノーテ・サムラから車で15分ほど走るとスペインのコロニアル調が色濃く残る町バヤドリドが見えてきました。メキシコ政府観光局が魔法のように魅惑的な場所に選出した町だそうですが、今回は車窓から眺めただけで帰途につきました。

 

メキシコ最終日の長い夜に備え、お馴染みのコロナで一服です。メキシコビールだなんて意識したこともなかったですが、軽い飲み口がビーチにピッタリでした。f:id:greenbirdchuro:20190602202106j:image

 

体にガソリン(ビール)を入れたらホテルの近くのショッピングセンターにやってきました。お目当てはテキーラ専門店です。でも、種類の多さに圧倒され、罰ゲームで飲む度数の高いお酒という以外にテキーラの知識のない素人が選ぶのは無理だと早々に判断しました。こんな時はプロに相談するに限ります。f:id:greenbirdchuro:20190602202117j:image

カウンターでテキーラの違いのレクチャーを受け、いくつか試飲させてもらいました。テキーラを樽で熟成させると徐々に琥珀になってきますが、製造後すぐに瓶詰めされたブランコから熟成期間によってレポサドアニェホエクストラ・アニェホとクラス分けされています。熟成期間が3年に及ぶエクストラ・アニェホは当然ながら高価で、数十万円するものもあるとか。縁起物なのでアニェホの小さめボトルを購入しました。f:id:greenbirdchuro:20190602202122j:image

テキーラはサボテンのお酒だと思っていましたが、どうやら間違いだったようで、原材料はアガベ(リュウゼツラン)という植物でした。アロエに似た多肉植物ですが、サボテンとは全然違うんだそうです。メキシコ=サボテンのイメージが強い上にラベルのデザインがサボテンだったりするので勘違いしてる人が多いかもしれません。そういえばメキシコシティのソカロ広場にありましたよ、アガベ  ↓ ↓ ↓f:id:greenbirdchuro:20190604185401j:plain

 

ショッピングセンターでばらまき用のお土産を買い、最後の晩餐はビーチらしくモヒートでスタートしました。f:id:greenbirdchuro:20190602201802j:plain

ここでもお通しにトルティー前菜が出てきました。最終日にして、サービスという名の前菜の量が半端ないことに気がついた愚かなわたしです。f:id:greenbirdchuro:20190602201807j:plain

観光地らしく目の前でワカモーレを作ってくれます。しかも鼻歌付き。見ているこちらも楽しくなります。f:id:greenbirdchuro:20190602201813j:plainそして出来上がったワカモーレ。f:id:greenbirdchuro:20190602201818j:plain

アラチェラ(ハラミのステーキ)も肉が隠れてしまうくらいの派手めの装飾がカンクンらしいです。f:id:greenbirdchuro:20190602201821j:plain

 

フライトは早朝なので、この夜一睡もせずにカンクンの夜を楽しみ、徹夜のまま帰国便に乗りました。ギュウギュウに詰め込んだメキシコの旅でしたが、すでにこの国リピート候補に入っています。近いうちにリピートの予感・・・?

 

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