鳥人間になるための儀式
島の時間は本当にゆったりと流れていました。現地ツアーのお迎えも9時半からとスロースタート。
現地ツアーのメンバーは3世代家族連れを含めて15人ほど。英語はわたしを含めた2人だけでスペイン語圏の人ばかりでした。というより、ほとんどがサンティアゴからの国内旅行客。メンドーサ での苦い思い出が蘇ります・・・
まずはマタベリ国際空港の南側にあるラノ・カウ 火山口に向かいます。ベストシーズンとは言え、天気予報があてにならないの不安定な島の空の天気を心配していましたが、ちょっと小雨が降って、すぐ晴れて・・・そのお陰でこんなにキレイな虹が見れました。
ラノカウの丘から眺めたハンガ・ロア村は、歩いてみた時の印象よりも広い感じがしました。イースター島の総人口の約87%にあたる3800人が暮らす島唯一のハンガ・ロア村はイースター島の先住民のラパ・ヌイ語で「大きな湾」という意味なんだそうです。
ラノカウ火山湖は、直径1600m・水深4〜5mの超巨大クレーター!まさに、大自然が作り出した絶景です。このラノカウ火山湖の水がハンガロアに住む人々の生活用水になっています。湖面まで200mもあるので覗き込んでもよく見えませんが、中には沢山の種類の野菜や果物が生えているんだそうです。ここからとれた薬草から出来た薬が数年前に製薬会社から発売になったということでしたけど、薬の名前は聞き取れませんでした。命の湖って感じでなんとも神秘的でした。
火山湖に沿って南に進むとオロンゴ儀式村が見えてきました。
オロンゴ儀式村から見える海には3つの島があり、手前から「モトゥ・カオカオ島」、「モトゥ・イティ島」、一番大きな島が「モトゥ・ヌイ島」。
オロンゴ儀式村ではその昔、島の王を決める「鳥人儀礼」と言われる宗教行事が行われていました。泳いで「モトゥ・ヌイ島」に行き、海鳥の卵を早く取ってきた人が勝ち!勝った者が所属する部族長が1年間島を支配するというしきたりで1866年まで続いたそうです。
1972年に復元された51の岩屋は、オロンゴの儀式を見守るために使用された住居跡。
強風を凌ぐために薄い石を積み重ねて低く作ってある石屋は、丘と一体化してて遠くから見てもその存在に気がつかないくらいです。
モアイと並んでイースター島では、謎めいた岩面彫刻(ペトログリフ)も有名で、その代表がこのオロンゴ儀式村にあります。
転がる石をよく見てみると、鳥人儀礼に関連する模様や鳥人そのもののレリーフや不思議な絵がぎっしりと刻まれています。
で、当然わいてくる疑問がありますよね。
鳥人間コンテストと笑い飯のコントしか思い浮かばない方のために解説すると、
鳥人とは・・・丸くて小さい頭にに長くて垂れ下がるクチバシが着いていて、体には人と同じ手足がある・・・こんな姿です。↓↓↓by チュロぽん
この絵が信用ならない人のために・・・イースター島博物館で見たものがコレ↓
なんと!鳥人儀礼で勝った名誉ある部族長はこれになれるとされていました。
えっ、なりたい・・・ですか、これに?
部族長たちがなりたいのにはもちろんそれなりの理由があるはずです。
モアイ崇拝が廃れた後にその昔にあったマケマケ信仰と鳥人儀礼が復活しました。マケマケはラバ・ヌイ神話上のこの島の人間の祖で、人間を創造した神・豊穣の神・鳥人信仰最高神とされている絶対的な神様です。鳥人は、その絶対的神様マケマケの化身とされていたんです。
鳥人=神様の化身 それなら・・・わかるかも・・・鳥人さんごめんなさい。いや、でもやっぱりわたしなら・・・今のままでいいです。
マケマケがこの島にやってきたのは鳥(グンカンドリ)に導かれたから・・・という伝承が鳥人儀礼の由来とされています。
荒れ狂う太平洋・・・
サメもいるという危険な海・・・
部族長たちが鳥人になりたい理由はなんとなく理解できたものの、なれるのは厳しい条件の中で命をかけて頑張った本人ではないというところがなんとも切ない・・・。
などと感傷に浸っていたわたし達はマタベリ国際空港に連れていかれました。飛行機の離発着が見れる時間だから!だって。正直なところ、こんなにたくさん見るものあるのに何故にここで飛行機の離発着?って思ったんですが、なんでもこのマタベリ国際空港は南米1の長さを誇る5㎞の滑走路を持ってるんだそうです。(建屋は木造平屋なのに。)宇宙から太平洋に帰還した機体をピックアップする為の拠点になるという絶海の孤島ならではの理由でNASAや米国が出資した肝煎りの空港なんです。どおりで、島の人にとっては自慢の場所なんですね。とりあえず、飛び立つ飛行機の写真は撮っておきました。