時たま、旅人

自称世界遺産ハンターが行く!旅好き会社員の備忘録

ドバイで寄り道とアリバイ工作

アンマンから帰国のために搭乗した飛行機の乗継時間を利用してドバイ観光です。

 

数十年前まで遊牧民が暮らす砂漠地帯だったドバイは、石油の発掘とともに、あっという間に世界有数のリゾート地となりました。なんと年間約1,500万人を超える観光客が訪れるそうです。正直なところ、遺跡 > リゾートのわたしにとってはそれほど魅力のある場所ではありません。ドバイに行くと言って、ヨルダン・イスラエルに行ってきた手前、嘘をついたわけではない・・・ということにしたくて立ち寄ったというところです。それもこれも、エルサレムでオリーブの丘からの景色をFacebookにUPした時点で全てのアリバイ工作が台無しになったわけですが・・・。

 

最初に訪れたのはバール・ドバイ地区にあるドバイ博物館です。ドバイに現存する最古の建造物を再利用して展示された豊富な資料でドバイの民俗史を学ぶことができる貴重な博物館です。

 

入り口の前には大きなダウ船が展示されています。ダウ船とは紀元前後からインド洋やアラビア海近辺で活躍した伝統的な木造帆船で、釘を一切使わず紐やタールで組み立てられたものです。博物館でしか見たことないので、大昔のものだと思っていましたが、今でも製造されていて、動力をつけて使用されているそうです。f:id:greenbirdchuro:20190805230939j:plain

 

博物館の建物は、サンゴや泥と言った地元の素材を使って1787年に建造された要塞「アル・ファヒディ砦」をそのまま再利用しています。どうりで、博物館というより堅牢な要塞といったほうが相応しい雰囲気だと思いました。f:id:greenbirdchuro:20190805230943j:plain

 

中庭に展示されていた木製の船です。これで天然の真珠を採取していたのかもしれません。小さな漁村だったドバイのかつての生活が思い浮かびます。ちなみにドバイの真珠漁は、日本でミキモトが真珠の養殖に成功したことで廃れていったそうです。f:id:greenbirdchuro:20190805230948j:plain

 

博物館の中庭には、椰子の枝で作られた昔の伝統的家屋が置かれていました。現在の煌びやかなドバイからは想像もつかない粗末で小さな家ですが、暑さの厳しい夏でも涼しく過ごせるように考案されたものなので、見るからに風通しが良さそうです。f:id:greenbirdchuro:20190805230952j:plain

 

アラブの人は大柄なイメージがありましたが、家具は思ったより小さめでした。日本人もかつてはそうだったように、ドバイの人々も昔はもっと小柄だったのでしょうか。f:id:greenbirdchuro:20190805231008j:plain

 

近年のドバイと言えば、超のつく高層ビルがトレードマークになっていますが、この博物館がそんなトレンドと一線を画すのが、展示室の多くが地下であるという点です。

 

こういった類の博物館の展示は、火を手にした原始人家族の人形からスタートするのが常ですが、有難いことにここでは1930年代から80年代のドバイの発展史から展示が始まります。民族博物館ではお馴染みとも言える蝋人形による再現展示もありましたが、マダム・タッソーの蝋人形館も顔負けのリアルな出来ばえです。f:id:greenbirdchuro:20190805231018j:plain

 

現在も首長として君臨するマクトゥーム家が移住してきて、ドバイ首長国が建国されたのは1830年代のことでした。イギリスの保護下で交易中継地として発展し始めた小さな漁村は、歴代首長のとった自由貿易政策や社会資本の近代化によって、わたしたちの知る近代ドバイの下地が出来ていきました。ドバイ沖での海底油田が発見された1966年以降の爆発的な発展は誰もが知るところです。f:id:greenbirdchuro:20190805231012j:plain

 

3世紀のものです。小さな漁村だったドバイで漁に使われていたものでしょうか。f:id:greenbirdchuro:20190805231029j:plainf:id:greenbirdchuro:20190805231047j:plainf:id:greenbirdchuro:20190805231050j:plain

 

博物館の後は、ドバイ・クリークの対岸にあるスパイス・スークを目指します。移動手段は、お世辞にも立派とは言えない見た目のドバイの伝統的な渡し船であるアブラ。いわゆるポンポン船という類のもので、人数が集まったら次々と出発します。と言ってもクリークを渡るだけですけど。f:id:greenbirdchuro:20190805231731j:plain

 

強風なんて吹こうものなら一気にひっくり返ってしまいそうですが・・・。f:id:greenbirdchuro:20190805231736j:plain

 

振り返るとグランドモスクの高いミナレットがそびえ立っていました。f:id:greenbirdchuro:20190805231741j:plain

 

グランドモスク東側にあるAl Farooq Mosqueです。f:id:greenbirdchuro:20190805231746j:plain

 

対岸までは10分もかかりませんでした。ドバイ・クリークからすぐ近くにあるスパイス・スークは、文字通り世界各地のスパイスが集まるエリアです。どのお店にもコショウやカレーパウダー、クミンシード、粉末パプリカ、カレーリーフなどアラビア料理やインド料理に欠かせない色とりどりのスパイスがずらりと並んでいました。スパイスを良く使うお料理好きな人にはたまらない場所ですが、それ以外の人にとってはただひたすらに見て楽しむ場所といった感じです。f:id:greenbirdchuro:20190805231752j:plain

 

スパイス・スークからさらに北に向かうとアーケードの通りの両側が金製品だらけというゴールド・スークがありました。「見てるだけ~」オーラを出して歩きましたが、未だに日本人はお金を持っているという間違ったイメージがあるのか、貧相な身なりのわたしでも手招きされて客引きに連れていかれそうになります。中国人の観光客を見かけるとそちらに行ってくれるので何度か助けられました。それにしても、所せましと並べられた金製品に目がくらみそうです。f:id:greenbirdchuro:20190805231802j:plain

 

このゴージャスな冠は、いつ、どなたが、何のためにお使いになられるんでしょうね。f:id:greenbirdchuro:20190805231756j:plain

 

お土産の買い物のために訪れたドバイモールの吹き抜けエリアに突然現れた巨大水槽はドバイ水族館のものです。太っ腹なことに、この水槽は買い物に来た人が誰でも楽しむことができる無料エリアにありました。水槽の前に立つとまるで自分が深い海底にいるような気分になります。この水槽のスゴさは、ギネスに登録されている水槽のサイズだけではありません。厚いパネルを使っているのに水槽の中の魚たちが全く歪んで見えないんです。それを可能にしたのは日本製のアクリルパネルだそうですから、水槽の前に出来た人だかりすらとても誇らしく思えてきます。f:id:greenbirdchuro:20190805231807j:plain

 

世界一という冠が大好きなドバイでも、特に最強なのが、2010年にオープンした世界一高いビルブルジュ・ハリーファです。その高さは634mの東京スカイツリーを遥かに上回る828m。(自宅から最も近い東京スカイツリー以外の)世界の名だたるタワーを制覇してきたわたしが登らないわけがありません。天まで届きそうなその外観を写真に収めることは端から諦めていたので、早速エレベーターで124〜125階にある展望台「AT THE TOP」へ向かいました。ちなみにこの世界最高層のビルの空調や電気設備、わたしたちを地上から展望台まで運ぶエレベーターも日本製なんだそうです。f:id:greenbirdchuro:20190805231813j:plain

 

世界最速エレベーターは、恐ろしいスピードで452mの高さにある展望台「AT THE TOP」に到着しました。エレベーターの目の前の回転ドアから出ると、なんとそこにあったのはまさかの屋外展望台でした!この高さで屋外が許されるなんて・・・。f:id:greenbirdchuro:20190805231830j:plain

 

幹線道路に沿って建てられた巨大ビル群のはるか向こうには、砂漠地帯が広がっていて、砂漠の中に突如として現れた近未来都市といった感じは、まるでSF映画の世界を見ているようです。f:id:greenbirdchuro:20190805231817j:plain

 

現実味がない高さなので、かえって恐怖心はわきませんが、映画「ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコールでスタントを使わずこの建物の外壁にぶら下がったトム・クルーズに対しては尊敬の気持ちを通り越して、ちょっと頭がおかしいんじゃないか?としか思えません。きっとアドレナリン中毒の傾向があるんでしょうけど。f:id:greenbirdchuro:20190805231825j:plain

 

映画「ワイルド・スピード/スカイ・ミッション」でもブルジュ・ハリーファの周囲をスリリングに駆け抜けるシーンが撮影されていました。

 

この高さからだとプラモデルにしか見えないビル群を眺めながら、展望台で粘っているうちにドバイモールに隣接する人工池で噴水ショーが始まりました。150mの高さまで水が噴き上がる様子は、それこそ水がダンスを踊っているようです。この噴水も世界一なんだとか。雨がほとんど降らず、川もないドバイにとって水は大変貴重な資源ですが、この噴水の水を含めたドバイの生活用水は海水を淡水化したものです。なんとその浄水技術も日本の企業のものだそうです。これだけドバイの「世界一」に日本の企業が貢献しているんだから、観光施設の日本人割引があってもいいと思いませんか?f:id:greenbirdchuro:20190805231836j:plainf:id:greenbirdchuro:20190805231841j:plain

 

すっかり日が暮れたので、地上で噴水ショーを観覧しました。とにかくすごい人です。f:id:greenbirdchuro:20190805231901j:plain

 

ライトアップされたブルジュ・ハリーファ。これが写真の限界ですね。f:id:greenbirdchuro:20190805231854j:plain

 

ドバイの夜はまだまだ続きそうですが、わたしは帰国便の時間です。f:id:greenbirdchuro:20190805231847j:plain

 

無駄に終わったアリバイ工作でしたが、それなりにドバイを楽しむことができました。

 

 

TRANSIT(トランジット)44号 砂漠の惑星を旅しよう (講談社 Mook(J))

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ドバイのまちづくり―地域開発の知恵と発想

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ようこそドバイへ! ドバイ・アブダビ2018シリーズ (EvoTo写真集)

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