チューリップ咲き誇るキューケンホフ公園
オランダの景色と言えば・・・果てしなく広がるチューリップ畑。あまりに有名な春の風物詩ですが、オランダならどこでも見れるというわけではありません。アムステルダム市内を観光していてもせいぜい花市や植え込みの花を見ることが出来るくらいです。そこで、ザ・チューリップの国という景色を見るためにキューケンホフ公園に出かけることにしました。
キューケンホフ公園はアムステルダム郊外の南ホラント州リッセにあります。32ヘクタールにも及ぶ巨大な庭園内に800種類以上、700万株以上ものチューリップをはじめとする春の球根植物が咲き誇る世界最大の花の公園です。
キューケンホフ公園へのアクセスは主に列車かバス。今回は、入場券と往復シャトルバスがセットになっている「コンビチケット」を利用することにしました。これで公園入り口のチケット売り場で行列に並ぶ必要ありません。ちなみに、わたしが訪れた2016年のコンビチケットはスキポール空港発着で24ユーロでした(2019年5月現在は25ユーロ)。オンラインでも購入できますが、どうしても晴れた日に出かけたかったので、敢えて事前予約をせずにスキポール空港のバス乗り場で当日購入しました。
キューケンホフ公園はチューリップの名所としてあまりに有名で、毎年3月半ばから5月半ばのわずか2ヶ月の公開期間に100ヶ国以上から約80 万人以上の人々が訪れます。想像するだけで恐ろしい混雑。少しでもゆっくりと花を楽しめたら・・・と思い、午前8時の始発に乗ることにしました。スキポール空港の専用バス乗り場に行くと既に数人が並んでいましたが、始発を狙ったお陰でなんなく乗車することが出来ました。
40分程でバスは公園入り口に到着しました。自家用車で来ている人もいるので一番乗りとはいきませんでしたが、まだそれほど混雑しておらず、滑り出しはまずまず良好です。でも、昼前には続々とツアーバスがやってくるので、ここは時間との勝負。入場口や看板の撮影は適当にしておいて、急いで公園内に入りました。
オランダ語でキューケンホフはキッチン・ガーデン(台所の庭)という意味です。15世紀頃のリッセ周辺は広大な森でした。そこには狩猟を楽しむ貴族のための城があり、一角に料理のための香草を栽培する庭園があったことが名前の由来です。街が整備されるにつれ、リッセ周辺の砂質の土壌がチューリップの生育に適していたことが判明し、この土地で活発に球根栽培が行われるようになりました。今やオランダの主要産業のひとつになっています。そして、1949年に開園したキューケンホフ公園は球根産業に携わる業者にとってのフラワーショーの場にもなっています。
わたしが訪れたのは5月上旬。まさに早咲きも遅咲きも全ての種類のチューリップが満開の素晴らしいタイミング。許されるなら花畑の中にダイブしたいくらい。
広大な敷地内には、木々だけでも2,500本以上。約15kmのなだらかな遊歩道を歩けば、春の花々だけでなく、木々の新緑も池も水辺の水鳥も楽しむことができます。
チューリップの原種は100種類ほどだそうですが、キューケンホフ公園内には700〜800種類のチューリップが咲いています。馴染みがあると思っていたチューリップにそんなに品種があることに驚きます。さすが原産国と言いたくなりますが、いえいえ、実は原産国はオランダではなくトルコなんです。言われてみれば、トルコのタイルや絨毯のデザインによくチューリップを見かける気がします。チューリップがトルコからオランダへと伝えられたのは16世紀のことでした。チューリップにすっかり魅了されたオランダの人々は熱心にこの花を栽培し、併せて交配による品種改良を重ねてきました。栽培に適した気候も手伝ってオランダの各地へ広まっていき、今では約6000種類もの品種があるといわれています。
花畑にダイブしたい衝動を何度も抑えながらひたすらにその色彩と香りを楽しみます。
黄色のチューリップも素敵・・・。
でも、やっぱりチューリップは赤かな。
紫も捨てがたい・・・。
ちなみに公園内ではチューリップだけでなく、ヒヤシンス、ラン、バラ、カーネーション、アイリス等の様々な種類の花も楽しめます。これは、開園期間中に訪れる人が必ずなんらかの花を楽しめようにするための工夫なんだそうです。
花の色の配置を計算し尽くされた花絵も見所。2016年のテーマは「黄金時代」。オランダの街並みと帆船と海が見事に表現されています。帆船が世界中を航海して国に富をもたらした17世紀のオランダの黄金時代にふさわしい鮮やかで華やかな作品でした。
公園内の一角には、花だけではなく動物たちと触れ合えるスペースも設けられていました。今だにアルパカとリャマとグアナコの見分けがつかないわたしですが、これは・・・アルパカ?アルパカの足元にいるのが鶏だってことだけは確実にわかります。
オランダ特有の小型種ネザーランドワーフや垂れ耳のホーランドロップみたいなカワイイうさぎも見た記憶が残っているのに、わたしが撮った写真は何故だか鋭い目つきの貫禄あるうさぎさんでした。
これは・・・カピバラ?ミニブタ?うーん。
公園内には大きな風車がひとつあり、オランダらしく(?)チューリップと風車を同時に見ることができました。階段で風車の羽のすぐ近くまで上ることもできます。
風車のすぐ向こう、 公園のすぐ外側には運河が流れています。
運河の向こうに見える広大なチューリップ畑は私有地なので立ち入ることは出来ませんが、なかなかの眺めです。チューリップのカラフルな絨毯と青空のコントラストがたまりません!これぞわたしの求めていた景色。ザ・チューリップの国ですね!
広大なチューリップ畑を間近に眺めながら運河をボートで廻るツアーも楽しそう。
オランダのお土産と言えば木靴。湿った土や砂を多く含む低湿地帯が多いオランダでは、ぬかるんだ場所での作業に最適な木靴が愛されてきました。発見されている最も古い木靴は1230年頃のものなので、少なくても800年くらいは歴史があるようです。さすがに今時は履く人いないんじゃない?と思っていましたが、なんと現在でも農業・漁業・ガーデニングの時などには愛用されているそうです。想像以上に履き心地が良いことにもびっくりしました。
お土産屋さんの前に置いてある大きな木靴。とりあえず、お約束ってことで。
始発でやってきたわたしが花の公園を満喫して帰る頃には、入り口には長い長い列が出来ていました。このままでは、花を見てるのか人を見てるのかわからなくなりそう・・・。やっぱり朝一に訪れて良かったです。
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